令和4年4月12日(火)10時から、智福寺《檀信徒控室》にて【第4回 終活相談会】を開催いたしました。
地域の方々にお集まりいただき、有意義な時間を過ごすことができました。
この【ご報告】では、今回の相談会で先生からお聞きした内容をお伝えいたします。
テーマは【認知症】について
今回は【認知症】の概要についてお話をいただき、理解を深めました。
講師は、おなじみの前澤千里氏(練馬区社会福祉協議会)です。・・・先生のお話は分かりやすく、とても好評です(^^♪
認知症は、成年期以降にいろいろな原因で記憶や言語、知覚、思考などに関する脳の機能低下が起こり、日常生活に支障をきたすようになった状態をいいます。
これは、いったん正常に発達した脳の神経細胞が、外傷や感染症、血管障害などさまざまな病気や原因によって損なわれ、障害を受けたときに起こるとされています。
また、【老化】と【認知症】では、《物忘れ》の仕組みが違うというお話もいただき、皆さん興味深げに耳を傾けておりました。
【認知症】の種類
【認知症】は、おおまかに4つの種類に分けることができます。
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管性認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
【認知症】の原因とその特徴
1.アルツハイマー型認知症の原因は、脳の神経細胞に異常なたんぱく質(アミロイドβ)がたまって細胞が破壊され、脳が委縮するから。その特徴は、《少し前の出来事を忘れる》《同じことを何度も言う》《帰り道が分からなくなる》《同じものを買ってくる》など。
2.脳血管性認知症の原因は、脳梗塞、脳出血があって血流が途絶え、脳細胞がしめつするから。その特徴は、《物忘れがひどい》《意欲が低下》《急に泣いたり怒ったりする》など。
3.レビー小体型認知症の原因は、レビー小体という異常なたんぱく質の塊が、脳内にたまるから。その特徴は、《幻視》《手足の動きが鈍くなる》《夜中に寝ぼけて大声を出す》など。※初期には、物忘れが目立たない。日によって症状の程度がちがう。
4.前頭側頭型認知症の原因は、前頭葉と側頭葉が徐々に委縮するから。その特徴は、《同じ時間に同じ行動を繰り返す》《なめらかに話をすることができない》《言葉の意味が分からなくなる》など。
認知症【初期】に、本人が体験すること
- 物忘れが増え、指摘されても「そうだったかな?」と思うことが多い。
- 新しい機械の操作や初めて聞く人の名前など、新しいことをなかなか覚えられない。
→記憶力の障害 - 料理のように準備や手順を考え、材料が足らなければどうすればいいのかなど、状況判断の必要なことが難しい。
→理解・判断の障害 - 家事や会社の仕事などで、一度にたくさんの作業ができない。または時間がかかる。手順が分からなくなる。
→遂行能力の障害 - 疲れやすくなった。徒労感がある。
→体調不良 - イライラするようになった。焦ったり、いろいろなことに不満を感じたりする。何となく不安。
→気分の変化
認知症【前期】に、本人が体験すること
- 置き忘れや仕舞い忘れをして、物探しが頻繁になる。自分が体験したことを全く記憶していない。買い物のたびに同じものを買ってくる。
→記憶力の障害 - 理屈は分かっているのに現実的な場面での応用ができず、正しい判断ができない。人との会話がうまくいかない。雑談についていけない。
→理解・判断の障害 - 仕事の段取りができない。料理が面倒になり品数が減る。
→遂行能力の障害 - 疲れやすい。だるい。気が晴れない。
→体調不良 - 怒りっぽくなる。意欲がなくなる。
→気分の変化 - 日付や時間が分からなくなり、何度も確認する。
→見当識の変化
認知症【中期】に、本人が体験すること
- 新しい経験を記憶できず、自分のしたことが記憶から抜け落ちる。
→記憶力の障害 - 期間の間隔がおかしくなり、予定通りの行動が難しい。
→見当識の障害 - 一人で外出し迷子になったり、夜にトイレの場所が分からなくなる。
→場所に関する見当識の障害 - 衣類の選択がうまくいかなくなり、場違いな洋服を着ている。
→理解・判断の障害 - 昼夜が逆転する。→体調不良
- 周囲の把握ができないので攻撃的になったり、心配性になったりする。
→気分の変化
認知症【後期】に、本人が体験すること
- 生活の基本的なこと(食事・排泄・着替え・入浴など)が、自分でできなくなる。
- 感情のコントロールができなくなって、突然爆発する人や、一日中ぼんやりして感情の表出がみられなくなる。
- 昼夜逆転、睡眠時間が長くなるなど、睡眠と覚醒のリズムが乱れる。
- 周囲の状況が理解できなくなる。
- 言葉の理解や表現ができなくなる。
- 何をされているのか分からず、入浴や着替えの介助を拒んだり、抵抗したりすることがある。
- 歩行が不安定になり、転倒することがある。
- 食べ物を飲み込むことが下手になり、むせこむことが多くなる。
早期診断のススメ
認知症も他の病気と同じように、早期診断と早期対応が大切である。
- 病気を理解することで、今後の生活に備えることができる。
症状が軽いうちに本人や家族が認知症への理解を深めることで、将来の話し合いをすることができる。
→《介護保険サービスの利用》《成年後見制度の利用》など。 - 一時的な症状の場合や、治療可能な認知症が改善できる。
→本来の病気の治療をすることで、認知症の症状は軽減する。 - 納得して受診するほうが、医師との信頼関係が築ける。
どんな医療機関にかかったらいい?
- 認知症かな?と感じたら・・・
◆【かかりつけ医(内科)】に相談
→認知症の疑いが強いと推定されたら・・・
→・その地域の《認知症専門医》《認知症専門クリニック》を紹介。
・認知症疾患医療センターを受診。
◆《日本老年精神医学会》《認知症学会》のホームページを見てみる。
→地域の精神科・脳神経外科・神経内科の医師(クリニック)を見つける。 - 大学病院などの【物忘れ外来】を受診。
- 【認知症の人と家族の会】のホームページを見る。
※初診で飛び込みの場合は、受診まで時間がかかることが多いため、かかりつけ医からの紹介状を持って受診する。
※介護経験のある友人などからの口コミを活用する。
どんな検査があるの?
- 長谷川式認知症機能検査
・体力が低下した高齢者のために、所要時間が短い。
・認知機能のなかでも、記憶力に関する項目で構成されている。 - MMSE(ミニメンタルステート)
・文章を書く。
・図形を描く。 - CDT(時計描画テスト)
- その他
最後に・・・
認知症といっても、原因や特徴がさまざまであることが分かりました。
老化と認知症は別物ということも驚きでした。
脳は歳をとるにつれて、小さく軽くなり、機能も低下します。これは正常な老化といえます。
70歳くらいから脳の萎縮が始まりますが、トレーニングである程度保てると言われております。
ところが、認知症はそうもいかないのが現状なのです。
「認知症になりたくない」というのが、私たちの本音ですよね。しかし、自分の意志ではどうにもならない。
ご自身やご家族の少しの異変を感じ取って(察知して)、早めに行動することが大切だと、今回の相談会で気づかされました。
「なってしまったら、どうすればいいか・・・」ということで次回は、今回の続きとして、認知症になってしまったときの対応、特に自分以外の方がなってしまったときの接し方を中心にお話を伺い、参加者と議論しながら理解を深めていきます。
次回は、6月20日(月)10時~、智福寺檀信徒控室にて予定しております。
改めて、当サイトにてお知らせいたします。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。